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その害虫、バルサンで本当に効く?知っておきたい対象害虫と限界
部屋に不快な虫が出た時、「とりあえずバルサンを焚いておけば、どんな虫でもいなくなるだろう」と考えてしまいがちです。しかし、バルサンは決して万能薬ではありません。害虫の種類によっては、ほとんど効果がなかったり、一時的に姿が見えなくなるだけで根本的な解決にならなかったりすることもあります。時間と労力を無駄にしないためにも、バルサンが本当に効く相手と、そうでない相手を正しく知っておきましょう。まず、バルサンが特に有効なのは、部屋の中を動き回り、薬剤に触れる機会の多い害虫です。その代表格は、誰もが最も駆除したいと願う「ゴキブリ」です。バルサンの持つ「フラッシング効果」により、家具の隙間や冷蔵庫の裏などに隠れていたゴキブリを追い出し、薬剤に触れさせてノックダウンさせます。また、カーペットや畳の奥、ソファの中などに潜む「ダニ」や「ノミ」に対しても、部屋全体に薬剤が行き渡るため非常に高い効果が期待できます。部屋を飛び回る「ハエ」や「蚊」といった飛翔昆虫も、空間全体に薬剤が充満するバルサンは有効な駆除手段です。一方で、バルサンでは効果が薄い、あるいはほとんど期待できない害虫も存在します。例えば、壁の隅に巣を張る「クモ」は、徘徊性で定住場所を持たないことが多く、薬剤に触れる機会が少ないため、駆除できるのは偶然その場にいた個体だけです。近年、都市部で被害が拡大している「トコジラミ(南京虫)」は、薬剤への抵抗性が非常に強い「スーパートコジラミ」と呼ばれる個体が多く、市販のバルサンでは完全な駆除は極めて困難です。この場合は、迷わず専門業者に相談すべきです。また、小麦粉や乾麺などから発生する「シバンムシ」や、古本や湿気の多い場所を好む「チャタテムシ」などは、発生源となっている食品やカビを除去しない限り、バルサンを焚いてもすぐに再発してしまいます。家の外に巣を作り、行列をなして侵入してくる「アリ」も同様で、室内のアリを駆除しても、巣がある限り次々と新しい兵隊が送り込まれてくるため、根本解決にはなりません。そして、バルサンを語る上で最も重要な「限界」を知っておく必要があります。それは、ゴキブリの「卵(卵鞘)」には全く効果がないということです。