台所の排水溝から漂ってくるあの不快な悪臭。その元凶の多くは、排水管内部にこびりついた「ヘドロ」にあります。ヘドロは単に見た目が悪いだけでなく、雑菌の繁殖を促し、様々な悪臭ガスを発生させる「臭いの製造工場」とも言える存在なのです。 ヘドロが悪臭を放つ主なメカニズムは、そこに生息する微生物による有機物の分解作用です。台所の排水溝ヘドロには、食べ残し、野菜くず、油汚れ、洗剤カスといった、多種多様な有機物が含まれています。これらは、排水管内部の湿気が多く酸素が少ない環境(嫌気性環境)で、特定の雑菌(嫌気性細菌)によって分解されます。 この分解過程で、硫化水素(温泉卵のような腐敗臭)、メチルメルカプタン(玉ねぎの腐敗臭)、アンモニア(ツンとした刺激臭)など、私たちの鼻に不快に感じる様々な悪臭ガスが生成されます。特に夏場など気温が高い時期は、雑菌の活動が活発になるため、悪臭もより一層強くなる傾向があります。 また、ヘドロ自体が腐敗していく過程でも、独特の臭いを発生させます。一度ヘドロが形成されると、その表面がヌメヌメとして粘着性を持つため、さらに新しい汚れが付着しやすくなり、悪臭のループが形成されてしまいます。 ヘドロはまた、排水トラップの機能も阻害します。排水トラップは、水を溜めて下水からの臭いを遮断する役割を担っていますが、トラップ内部にヘドロが大量に蓄積すると、封水がうまく溜まらなくなったり、トラップ自体が機能しなくなったりして、下水からの臭いが直接上がってくる原因にもなります。 このように、排水溝ヘドロは、微生物の活動、有機物の腐敗、そして排水トラップ機能の阻害という複数の要因を通じて、台所に悪臭を撒き散らす元凶となります。悪臭を根本から断つためには、ヘドロを溶かし、徹底的に除去することが最も効果的な対策と言えるでしょう。
ヘドロが招く悪臭の元